信じる前に考えたい。若者の「みそ汁」離れ

2017年6月28日の時事ネタについてちょっとコメントが長くなったので記事を単体化します。

元ネタ:若者のみそ汁離れ 「1、2カ月飲んでいない」 (1/7) – ITmedia ビジネスオンライン

若者だけかどうかはなんとも言えないですね。
例えば、下記のコメント。

男子大学生(20)も「実家暮らしだけど、あまりみそ汁は出ない」といい、「1カ月くらい飲んでいない」と明かした

となると、この学生の「親」も同様なわけで=若者の定義から離れた世代でも「みそ汁離れ」があると想定できます。


次にアンケート結果の文章の表記を自分がまとめたもの。

  • 10代(対象数1名):低頻度1名(100%)、高頻度0名(0%)
  • 20代(対象数18名):低頻度8名(44%)、高頻度10名(56%)
  • 30代(対象数4名):低頻度1名(25%)、高頻度3名(75%)
  • 40代(対象数4名):低頻度1名(25%)、高頻度3名(75%)
  • 50代(対象数1名):低頻度0名(0%)、高頻度1名(100%)
  • 60代(対象数2名):低頻度0名(0%)、高頻度2名(100%)
  • 加重平均:低頻度36.4%、高頻度63.6%
  • ※低頻度は週2回以下、高頻度は週3回以上

これがどうにもすっきりしませんよね。特にあからさまな世代別の対象者数。
1名だけに聞いた結果は統計データとしてあまりにも論外すぎます。


そしてどうかと思ったのは、記事内では、若者の言葉は飲まない意見だけを載せ、逆に飲む方は若者以外の意見だけを載せていること。
一番データ量としては多い20代を見てもらえればわかりますが、実際のところ高頻度の方が割合的に多いんです。
なのにその層からは一切意見を引用していないのはフェアではないですね。


あと、因果関係を考えるなら人工推計も必要でしょうか。

関連(2016年10月):統計局ホームページ/人口推計/人口推計(平成28年10月1日現在)‐全国:年齢(各歳),男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級),男女別人口‐

15歳未満が12.4%、15~64歳が60.3%、65歳以上が27.3%(このうち75歳以上が13.3%)となっています。
もう15歳未満より75歳以上の方が多いという、超高齢化社会が本当に進んでいます。


記事に話を戻すと、下記の情報もありました。本質的にはこここそが焦点ですね。

総務省の家計調査によると、1世帯あたりのみその年間購入量(2人以上、農林業・漁業世帯を除く)は昭和54年には12.667キロだったが、徐々に減少。平成元年に10キロ、21年に7キロをそれぞれ下回り、28年には5.255キロと54年の半分以下にまで落ちている。


高齢者の割合が増えていくとともに、みその購入量は下がっていっているのですから、
割合的に人口が多い年齢層の購入量も下がらないとここまで顕著な結果にはならないわけです
(若い層の人口割合は縮小しているので、その層が買わなくなった場合の購入率の変化の影響が違う)。

だから若者どうこうじゃない、という視点で考えるべきだと思います。

記事タイトルだけに言及するのなら、まだこのデータだけじゃなんとも結論は出来ないのですが、
「若者の親の世代」からの減少傾向から、みそ汁離れの文化が定着してると考える方が妥当ではないのかなと思います。


しかし定着してしまえば、今後の消費は落ちる一方になってしまいます。
商売的には人数が少ない層も購入に回れば、少なからず底上げはできるわけですし、
その次の世代への影響も期待できるので、若者をターゲットにするのは決して間違いというわけではないです。

だけど前述したとおり、そもそも根本は若者がどうこうじゃないよね、という部分です。
結果としてそこへのアプローチは必要という結論に至ったってだけです。
記事にも「食の多様化や個食が背景」って書いてあるけど、これは若者のせいではないでしょう。
若者より前の世代が動いてきた結果です。
時代が変わったのだから、新たに生まれた若い世代は当然、そこに適合せざる得ない。
それなのに、なんでもかんでも若者の○○離れなど表現するのは暴力的すぎるんです。

こういった記事が出るとたいてい若者からは「またか」という呆れとか、
逆に盲目的に信じた層からなぜか若者への批判まででることも見受けられます。
それって前述のように情報の出元の論法がおかしい・暴力的だからという側面も大きいと思います(関連でいえば「報道」の影響力の大きさもそう)。
もうちょっと個々で物事を考えるようにしたほうがいいんじゃないのでしょうか。
そうすれば本質が別なところにあると気づく場面も出て来るかと思います。